我楽多三昧の備忘録

Radio Tele Type

RTTYは国際5単位符号(Baudot Code)を使って文字の送受信を行う。
実際には各文字には5ビットが割り当てられ、そのデータビットの状態(ON/OFF)により送信機のキャリアー周波数をシフトさせる周波数変調によりデータ信号を送受します。

rtty_outline

生成させる方法はいろいろ工夫されていますが、5単位符号にしたがってマーク/スペースとシフトする電気信号(FSKキーイング信号)を作り出し、FSKモードを持った送信機に入力する必要があります。
受信においてはF1信号を受信し、マーク周波数とシフト周波数をデモジュレータで5単位符号として取り出します。

キャリア周波数をシフトさせる方法には、FSK方式とAFSK方式がある。
送信機にRTTYモードがあればFSK方式(F1)が使えるが、ない場合はSSBモードを利用して、AFSKモード(F2)を使います。

rtty_code

アマチュアRTTYで使われる5単位コード

アマチュアでよく使われるシフト幅は170Hz、伝送スピードは多くの場合、45.45ボー(Bauds)が使われる。
更に、45.45ボーにも何種類かのタイプがあるが、主に61.33WPM(60-Speed) が使われている。
(スタートビット=1Bit、ビット長=22mS ストップビット=1Bit、ビット長=31mS)

 スピード名  実伝送速度
(WPM)
 ボー
Bauds
 パルス長  キャラクター長
(mSec)
Start Data Stop
60-Speed 61.33 45.45 22 22 31 163
ウェスタンユニオン 65 45.45 22 22 22 154
60WPM 56.82 45.45 22 22 44 176

RTTY(60スピードの符号構成)

一般にアマチュアのRTTYに使われる45.45ボー 5単位符号を時間軸で見ると下図のようになります。
下図は「Y」(LTRS)を表します。 (FIGSでは「6」)

rtty_code

RTTYで使われる用語

・ボー(Baud)とボドー(Baudot)
ボーレートは
BaudRate=(1Sec)/(1データビットの時間 [Sec] )
で表される通信速度の単位です。
ボドー(Baudot)はボドーコード(5単位符号体系)のことで、人名に由来します。
・シフト幅とシフト方向
シフト幅とは周波数偏移幅の事を指します。
各ビットの「ON」の状態をマーク、「OFF」の状態をスペースといいますが、 HFでは「ダウンシフト」(DOWN SHIFT)方式、すなわちスペースの時のキャリア周波数はマーク時のキャリアー周波数より低い方向にシフトする方式が使われます。
・UOS(アンシフト・オン・スペース)
5ビットでは32文字しか表現できないため、数字や記号が表現できないために
「LTRS」、「FIGS]という特別な符号を前置して、同じデータビットをアルファベットと数字、記号に区別して送受するよう工夫されています。
「LTRS」の後に来るのはアルファベット、「FIGS]の後は数字、記号と判別させる仕組みである
この仕組みは少ないビット数で多くの情報を送ることができる効率的な仕組みであるが、
一旦、「FIGS」を受信すると、次に「LTRS」を受信するまでは「FIGS」を保持し、数字/記号を出力します。
このことは、雑音などの影響で「LTRS」(または「FIGS」)符号をうまく受信できなかった場合には、文字化けが1文字に納まらず連続して文字化けするというディメリットにもなります。
この問題を解決する(影響を最小限にする)仕組みが「UOS」です。
 「スペース」記号の後は必ず「LTRS」(LowerCase)に戻るという機能です。
物事には裏と表があるように、便利な「UOS」機能にも欠点があり、「スペース」に続いて記号/数字がくる場合には、記号/数字(FIGS)を出力せず、対応する文字を出力してしまいます。(当然!)
これを欠点にしないためには、スペースのすぐ後に記号/数字をなるべく入れないようにすします。
例えば、「UR RST 599 599」と送るとき「UR RST-599-599」というふうにスペースを入れないで「-」でつなぐ工夫します。

FSK方式

上図のようにコーディングされたビットの状態(HI/LOWまたはマークとスペース)で、送信機のキャリア周波数を直接シフトさせる周波数変調で情報を伝送する通信方式です。

RTTYモードがある送信機にパソコンをつなぎFSK端子にデータ信号を入力し、FSK回路をキーイングすることによりキャリアー周波数に周波数偏移170Hz(±85Hz)の周波数変調をかけることができます。
このとき、送信機に表示される周波数はキャリアー周波数で、マーク時はキャリアー+85Hz 、スペースのときはキャリアー-85Hzの周波数で送信されます。(Down Shift)


どこのステージでキーイングするか(発信周波数を変化させるか)ですが、VFO周波数、キャリアー発信周波数など、どの発信回路の周波数を変化させてもよのですが、ローカル発信にPLLを採用している場合は簡単に変化させることができません。そのためAFSK用トーン発信機を内蔵しSSBモードで等価的にF1を送信する機種もあります。ほとんどの機種のFSK端子はオープンでマーク周波数、ショートでスペース周波数が送信されます。(DOWN SHIFT)

キーイング回路の例

keying

リバースモードがある送信機では、「RTTY-R」にするとリバースモードになり、マーク周波数とスペース周波数が入れ替わります。
AFSK方式の局がUSBモードで送信している場合などには必要ですが普通はノーマルモードを使います。

AFSK方式

AFSK方式は、SSB送信機に付加装置(トーンキーヤー)をつけ、マイク(またはデータ入力端子)にAF信号(トーン信号)を入力し、その周波数をシフトさせることにより、結果としてRF周波数をシフトさせる方式です。(電波型式はF1)

DOWN SHITで運用するためにはSSBのモードはLSBで運用します。
マーク信号は2125Hzを、スペース信号は2295Hz(シフト幅170Hz)を使います。2125Hz以外の周波数でもOKですが、もしスプリアスを発生させた場合でも、SSBフィルターの帯域外に出るよう少なくとも1500Hz以上に設定するようにします。

AFSK方式で運用時の注意点
 
・トーン信号の入力レベルはオーバー入力にならないよう監視する
 ALCメータが振れるほどレベルを上げないようにします。
・LSBモードで運用する場合、マーク時は送信機の表示数周波数(キャリアーポイント)より2125Hz低い周波数で送信されます。スペース時はさらに170Hz低くなります。このことを理解していないとバンドプランを逸脱した運用になる可能性があります。

RTTY運用

ターミナルユニット(TU)を使う

RTTYの電波を受信機で復調(検波)すると「ピロピロ」というAF信号になります。このAF信号をRS-232Cの電気信号(DCのHI/LOW)に変換するのがターミナルユニット(TU)です。

FSK,AFSKどちらで運用するにもこのターミナルユニットが必要で、RTTY通信の成否を決めるRTTYの肝となる重要なユニットです。

ST-6

Mainline社のST-6が有名ですが他にもHAL ST-6などモディファイされた製品がいろいろあります。
回路図を見てみると、「リミッター」-「ディスクリ」-「LPF」-「ATC」(Auto Threshold Controller)-「スライサー」から構成されており、汎用のロジックICを中心にで構成されています。特殊な部品はディスクリの共振回路に使用されている88mHの中間タップ付のトロイドコイルです。
自作の時この部品の入手(製作)が1つのポイントになります。

ST-6タイプのTUの主な構成要素

・リミッター回路
受信機からのAF信号の電圧変動の影響を少なくするためOPアンプ後にリミッターをかけます。
・ディスクリミネータ
マーク用とスペース用の2組のAFの共振回路があり、共振用コイルには中間タップ付の88mHが使われています。
共振回路の後に2組の両波整流ダイオードがあり、マーク信号が入ると「-」、スペース信号が入ると「+」の電圧が生じ、2組の両波整流出力をあわせるとFM受信機のディスクリと同じS字カーブが得られます。これにより、入力信号の周波数の違いをパルス振幅の大小に変換します。
・LPF
AF信号の高調波やノイズを除去するためのフィルターで45.45ボーの場合カットオフ周波数は27.3Hzに設計されており、パッシブとアクティブフィルターの2段構成になっています。
・ATC(Auto Threshold Control)
マークまたはスペース信号が欠落し、LPFの出力電圧が+/-のアンバランスを生じたときでも、自動的に出力電圧の+/-のバランスをとる機能です。
・スライサー
ATC出力電圧は、+/-の電圧絶対値は等しくてもその振幅は変化します。これを一定の電圧レベルで頭を切りそろえるのがスライサーです。

ST-6タイプTUの回路図(改造版)

ST-6タイプTUの例:HAL ST-6

PLL ICを利用してTUを自作

有線データ通信用モデム向けICでRTTYにも使用できるものがあります。
EXAR社のXR-2211(デモジュレータ)XR-2206(モジュレータ:トーンキーヤー)が有名でこれを使って比較的簡単に実用的なRTTY用TUを作ることができます。

XR-2211/XR2206を使ったTUの例

パケット用多機能TNCを使う

これら有線通信用モデムICを使ったラジオパケット用TNC(Terminal Node Controller)が製品化されており、
中にはパケット機能だけでなく、RTTY,CW、FAXなどのモード/機能を有した製品もあります。
  AEA社のPK-232は アナログデバイス社のPLL IC、AM7911というICをRTTYのデモジュ用として採用しております。ほかにもTNC製品でRTTYなどに使用できるものにタスコ社のTNC-24Mk2があります。

TNC-241

同じタスコ社のTNC-241も多機能でRTTY、CW、RadioFAXなどの機能があります。


PCのRS-232C端子とTNC-241のRS232C端子をRS232Cケーブル(ストレート)でつなぎます。
TNC-241には2つのRADIOポートがありますが、RTTYの運用にはRADIO1(DIN8ピン)を使います。
通常は端子番号1から4までのみの接続でOK。

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